継承盃 (1992)

やくざ社会の伝統的な「継承式」を題材に、その裏側での男たちの悲喜劇を描く、新しいかたちのやくざ映画。脚本は、松田寛夫、監督は、大森一樹、撮影は、仙元誠三がそれぞれ担当。

継承盃 (1992)のあらすじ

関東堂場一家花村組系千田組の新入り吉成正一(真田広之)は、証券セールスマンからやくざの道へ入った変り種だが、持ち前の天分を活かし金の取り立ては抜群。順風満帆のやくざ渡世と思っていたが、本家堂場組組長が引退し花村組組長が2代目を引き継ぐことになり、その「継承式」の段取りを千田(隆大介)がまかされることになったため、子分たちは大騒ぎ。突如奔走する日々に様変わりした。その上、式を5日後に控え媒酌人の雁金(内田朝雄)が突如入院したため、スッタモンダの末控え役を常州梅ヶ崎一家総長・門田大作(緒方拳)に頼むことになった。屈辱的な控え役をお願いする使者に命じられた正一だったが、美しい妻、恵を持つ門田は意外にもスンナリ引き受けてくれた。親分から褒められ有頂天の正一だったが、今度はヘマをして堅気になる繁田の指を詰める役目を申しつけられる。気が重い正一に追い打ちをかけるように、雁金が元気に退院したため、門田の機嫌が悪化。晴れ舞台への出番を失った門田は酒びたりとなり、夜の町を徘徊するしかなかった。継承式を前日に控え、今度は組員に借金を踏み倒された金融業社長が式場に乗り込み大暴れ。投げ飛ばされた雁金親分が再入院となったため再び門田を担ぎだすことになったが、その門田は酒が入り手に終えず、ついには100枚もの“書上げ”を自らやると言い出す。アルコールの力に助けられ、全てを書き終えた門田は死人のように倒れ込んだ。残された正一と恵が身体を合わせている頃、門田は深夜のホテルの廊下でパンツ一枚で式次第の口上を口ずさむ始末。結局、谷地森親分(品川隆二)が代役となるが、当日何も覚えていない門田が素面で訪れたため、正一は恵と共謀して門田を媒酌人としてかつぎ出し、門田は見事大役を果たす。メンツを潰された谷地森は正一に破門を言い渡すが、指を詰めずにやくざをやめられた正一は、これ幸いとばかりに意気揚々と引き揚げていくのだった。

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