徳川三代将軍・家光の急死による政情混乱を契機に、それぞれの野望を達成しようとする忍者たちの戦いを描く。脚本は、高田宏治、志村正浩と山田隆之の共同執筆、監督は、工藤栄一、撮影も同作の中島徹がそれぞれ担当。
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影の軍団 服部半蔵 (1980)のストーリー
三代将軍・家光の治世。筆頭老中、松平伊豆守(成田三樹夫)の下知により江戸市中では過酷な浪人狩りが行われていた。役人により捕獲され連れ去られる浪人たちを救うために斬り込むならず者の一党があった。慶安四年、三代将軍・家光が急死したため、混乱のるつぼと化していた。その機に乗じならず者の一党は大名屋敷を襲い、盗品を市で売りさばく。
副将軍・水戸光圀をはじめとする御三家は、家光の実弟で会津藩主、保科正之(山村聡)を世継ぎ家綱の補作役と決め、事態の収拾を計った。一方、老中筆頭、松平伊豆守は殉死を装い密かに権力を維持するために策を練っていた。ならず者の一党は伊豆派の内藤山城守(仲谷昇)の屋敷に押し入るが失敗する。一党の頭目は伊賀忍者・服部半蔵であった。翌日内藤の指示で出向いた半蔵はそこで伊豆守から保科正之暗殺を依頼される。先代半蔵が幕府に利用され最後は棄てられたことを恨む半蔵はそれを拒否する。伊豆守は子飼いの甲賀忍者の頭目、甲賀四郎兵衛(緒方拳)に半蔵を始末するように命じる。
ある夜会津藩邸に忍び込む影があった。正之を急襲したその影は「上半蔵」(西郷輝彦)を名乗り、服部家再興のため自分を売り込むのだった。会津藩邸を後にした上半蔵をもう一人の半蔵「下半蔵」(渡瀬恒彦)が呼び止める。伊賀忍者、服部には上下二家があり、上は隠れ名にて常に世人に混わり、下は草に生き機に乗じ時に応じ現われるのだった。幕府に棄てられた先代半蔵は抗議のため切腹し果てていた。共に幕府への恨みを抱きつつも、上半蔵は幕府内部に入り込み権力を手中に収める道を、下半蔵は盗賊家業で外から幕府を混乱させる道を目指すのだった。内藤を拉致し恥をかかせた下半蔵は、役人の探索から逃れるために隠れ家を移動する。その際に妹の小萩(原田エミ)を上半蔵の元へ送る。小萩は上半蔵に好意を寄せていたからであった。
次々と改革を進める保科に対抗すべく、伊豆守も30万両もの賄賂を光圀らへ送ることを計画する。それを盗み聞きしていた下半蔵は四郎兵衛に襲われ危うく難を逃れる。ある夜賄賂を強奪しようとした下半蔵たちを四郎兵衛率いる甲賀忍者が急襲する。長い死闘の末、下半蔵たちはなんとか甲賀忍者の包囲網を突破するのだった。多くの仲間を失った下半蔵を、小萩を連れた上半蔵が訪ね、共闘を持ちかける。伊豆守と四郎兵衛憎しの下半蔵はその話に乗る。四郎兵衛は老中永井信濃守に術をかけ保科殺害を企てるが失敗する。上半蔵と下半蔵はこの機に乗じ保科に取り入る。ついに伊豆守が登城する。光圀は伊豆守を死んだ信濃守の代わりに重用しようとするが、新たに家綱側仕えとなった青山図書(三浦洋一)が猛反対する。
それを保科の自分への対抗策だと読んだ伊豆守は次の手を打つ。日光参詣途中の家綱が誘拐される。それが四郎兵衛の策だと睨む上半蔵は、手引きした人間を探るべく大奥に小萩を送り込む。手引きしていた女・千里(森下愛子)は四郎兵衛の娘であった。失意のあまり床に伏した家綱の生母、お楽の方をたぶらかす四郎兵衛。それを盗み見していた小萩は千里に討たれる。晒されていた小萩の遺体を見つけた下半蔵たちは甲賀忍者に襲われるが犠牲を出しつつも撃退する。逃げる甲賀を追った下半蔵は四郎兵衛の隠れ家を突き止める。逃げた甲賀は千里であった。下半蔵は千里を犯す。図書は伊豆守の陰謀で、家綱誘拐のぬれぎぬを着せられ腹を切る。保科は執政職を解かれ、謹慎を命じられる。
下半蔵の隠れ家を四郎兵衛が白昼堂々訪ねる。手打ちを進める四郎兵衛だが下半蔵は拒絶する。四郎兵衛は家綱が城中鬼門櫓に閉じ込められていると言い残す。罠と知りつつも、家綱救出に鬼門櫓に向うことを決意する上半蔵と下半蔵たち。下半蔵はいざという時のために、櫓を一挙に崩してしまう仕掛けを施こすよう命じる。そして決行の夜、千里が下半蔵を訪ねてくる。生き残って子を産めと千里に言い残す下半蔵だったが、彼女は腹の子供を流産させていたのだった。
鬼門櫓に忍び込んだ下半蔵ら伊賀忍者と四郎兵衛率いる甲賀忍者との死闘が始まる。櫓上層部に斬り込む上半蔵は応戦する四郎兵衛に斬られる。四郎兵衛の絶叫に応対して櫓を崩す作業を始める伊賀忍者たち。そして凄じい亀裂が櫓全体に走り、最後の呻きのような異様な爆音とともに、鬼門櫓は崩れ落ちる。その中で下半蔵は四郎兵衛を討ち果たし、家綱を救出するのだった。翌朝、城中で新将軍家綱御宣下の儀が始まった。勅使対面の席に向かう家綱たちの列に下半蔵が斬り込み、その中にいた伊豆守を討ち取る。無事に逃げ出した下半蔵は河原で死んでいった仲間たちに想いをはせるのだった…。
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