社葬 (1989)

大手新聞社トップの権力闘争を描く。脚本は、松田寛夫が執筆。監督は、舛田利雄、撮影は、北坂清がそれぞれ担当。

監督:舛田利雄
出演:緒方拳、十朱幸代、井森美幸、佐藤浩市、江守徹、若山富三郎

社葬 (1989)のストーリー

日本有数の大新聞「太陽新聞」のトップでは、会長派と社長派の間で権力争いが起こっていた。関東の地方紙だったのを全国紙にまで発展させたのは現社長・岡部憲介の父の大介(故人)と現会長・太田垣一男(若山富三郎)だった。その会長派は太田垣の娘婿で専務取締役の添島(中丸忠雄)ほか松崎(根上淳)、栗山、寺内、原口の各取締役。一方、社長派は岡部憲介(高松英郎)ほか息子の恭介(佐藤浩市)、谷(加藤武)、徳永(江守徹)、深町、三宅の各取締役。取締役販売局長として腕をふるう鷲尾平吉(緒方拳)は恭介の部下だったが、太田垣にも恩があり、派閥を嫌って中立的立場をとっていた。

ある日、定例役員会で谷から緊急議題として太田垣の代表権と名誉会長職の解任が提出され、鷲尾が棄権したために一票差で可決されてしまった。太田垣はショックで倒れ、病院にかつぎ込まれた。社長派は皆勝ち誇った様子だったが、その晩、岡部憲介が料亭で芸者相手に腹上死してしまう。鷲尾も手伝わされて遺体は岡部邸へ運び込まれた。通夜の臨時役員会では葬儀委員長と社長人事をめぐって紛糾、翌日、太田垣が代表取締役名誉会長に復帰し、社葬葬儀委員長に就任。しかし、病気療養中のため実行委員長は鷲尾が務めることになった。

前夜、太陽新聞では三友銀行の不正融資というビッグスクープが朝刊のトップを飾ろうとしていたが、徳永がもみ消していた。社長選出は無記名投票の結果、岡部恭介4票、添島隆治4票、白票3票で物別れとなった。鷲尾は以前に穂積で飲んでから女将の吉乃と男と女のつき合いをしていた。しかし、不倫旅行から帰ると、突然北陸の販売店が添島の差し金で納金拒否の態度をとった。徳永の命令で鷲尾が何とか事態を収拾したが、添島は株の失敗で大穴を空けて自殺未遂。憲介の死で社長派は劣勢、太田垣は病室に徳永を呼んで密約を交わした。報復人事はしないが、鷲尾の首を切れというものだった。鷲尾は徳永からの辞表提出要求を拒否し、穂積で恭介と会った。彼はすでに辞表を出していたが、三友銀行のスキャンダルや社葬の場で太田垣が徳永の社長就任を指名裁定することを鷲尾に話した。「なぜ自分だけがツメ腹を切らされなければならないのか」と怒った鷲尾は子飼いの部下の裏切りで相談役に落ちている前頭取野々村典正の協力を得、すべての情報をブラック・ジャーナリズムに流すと太田垣につめ寄った。社葬の当日、葬儀委員長の太田垣から指名された新社長は、岡部恭介だった。

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